金融教育学会とは?
私たちが暮らす日本において、現在、「お金」について学校教育で教わることは皆無に等しく、その分野に携わる人以外は、社会に出てから各個人が実地で学ぶことがほとんどです。
そのため、興味のレベルによって知識格差が生じてしまう可能性が非常に高い(すでに生じてしまっている…)状況にあると言えます。
しかし、周知のとおり「お金」について正しい知識や感覚を身に付けることは、これからの世界で生きていくうえで極めて重要です。
今、そして今後の日本を背負う現役世代は、その親世代が生きてきた「充実した社会保障制度」「年功序列の賃金制度や終身雇用」「手厚い退職金」に守られていた「古き良き」時代とは異なる世界を生き抜いていかなければなりません。
つまり現役世代には、「古き良き」時代とは大きく異なる人生設計(ライフプラン)を共に考え、そのライフプランを実現するための資産設計を指南してくれる「本質的な専門家」の存在が不可欠になっていると言っても過言ではありません。
この超低金利時代に求められる、「貯蓄から投資へ」シフトした資産形成。
そして、少子高齢化に伴い増加する社会保障給付費による国家財政の圧迫、求められる「自助努力」の備え。
さらには、リーマンショックや新型コロナウイルスショックのような非常事態を乗り切る資産防衛術。
あらゆる変化への対応力が求められるこの時代。
一人ひとりの「人生設計(ライフプラン)」にフィットした資産形成を先導する存在を一人でも多く増やすこと。
当講座は、日本に暮らす一人ひとりの将来のために、金融リテラシー向上に資する教育者を育成することを目的に開講いたしました。
私たち、金融教育学会が果たすべき役割は多岐にわたります。
その中でも重要な役割と捉えているのは、確定拠出年金制度導入企業(個人事業主含む)の従業員の方々に対し、豊かな資産形成の助けとなる金融教育、およびライフプランニングサポートを行うことです。
具体的には…
上記を実現するために求められる知識・技術は、
…などがあります。
お客様となる方々とのあらゆる関り方において、「手段」だけでなく「目的」を。
「入口」だけでなく「出口」戦略を視野に入れた解決策のアドバイスが出来ているか、がプロフェッショナルか否かを決定づけると言えます。
経済情勢などが激しく変動する環境下では、株式相場の暴落局面などに直面した場合でもぶれない投資スタンスを維持する必要性を、根拠をもって顧客に伝え続けることが求められます。プロフェッショナルとして、いかに顧客を正しい方向に導くことができるか。
ぜひ共に、日本の将来を豊かにするべく、学びを深め、プロフェッショナル同士の研鑽を追求していきましょう。
金融教育学会では、3つのコースに分けて、資産運用の基礎知識から、金融経済学、金融コミュニケーション学を学んでいきます。
コースに合わせて、学ぶ知識とスキルのレベルを「基礎」→「応用」→「発展」と、段階的に金融教育の専門家として持つべき知識とスキルを習得していきます。
「準会員コース」の全課程&認定試験に合格された方には、「金融教育学会 準会員」資格を、
また、「正会員コース」までを修了された方の中で、学びを活かし、例えば、実際に確定拠出年金制度を導入されている企業で働く従業員の方々や、ひいては、次の世代を育てていく学校教育の現場に対して…など、様々な場で金融教育セミナーを行っていきたい、という方には「インストラクター」コースをご用意しております。
「正会員コース」までで学んだ知識を、さらに発展させ、いかに実際の社会につなげていくのか。
さらなる知識の定着と伝える技術の習得を目指します。
私のアカデミック領域での関心事の一つが「金融コミュニケーション学」。 誰もお聞きになったことはないかと思います。 それもそのはず、私が勝手に命名、世界で私一人だけが細々と取り組んでいる分野ですから。
金融コミュニケーションを引退後のライフワークにしようと決意した経緯は、今ではほとんどの大学医学部で教室が置かれている「医療コミュニケーション学」からの触発です。 医療の世界は、医療サービス提供者と患者との間に情報格差が生じやすいという意味で、私たち金融産業と類似した側面を有しています。 医学研究の成果や知見が一般市民に分かりやすく正確に伝えられることによって、はじめて健康行動や医療行動の変容につながるとの認識から、1980年代のハーバード大学で誕生した新しい研究領域です。 それならば、「金融コミュニケーション学」もアリではないかと閃いたというわけです。
現在の日本の金融産業は、金融コミュニケーションの枠組みで語るならば、金融産業とアカデミズムの知識や知見が正しく消費者に届けられていないというのが私の認識です。 実際、資本市場や運用業界は長期的なリターン(私はこれを「r」と呼んでいます)を提供しているにも関わらず、消費者は「r」を取り損ねています。 その大きな要因こそ、金融商品の提供側と受け取り側に生じる金融コミュニケーション問題であり、私たちが当講座を立ち上げる理由でもあります。
当講座は、確定拠出年金の金融教育担当者、そして将来的には、小中高校生向けの金融教育を担う人材を育成することを目的としています。 教育提供側は専門家としての知識を有するだけに留まらず、一般消費者・子供たちが興味をもって聞きたくなるようなコミュニケーション・スキルの涵養が必須であると考えます。 消費者が「r」を獲得するための方法論、「r」が生成される資本主義の成長メカニズム、「r」の源泉となる企業利益を生み出すインセンティブ構造等、資本主義経済の本質を学んでいただき、こうした一般向けには難しい経済理論を平易な言葉への置き換えや例え話の多用(相手の左脳ではなく右脳へ働きかける話法)で、両者間に偏在する情報と知識の格差を縮小し、究極の課題である「消費者にrを届ける」の解決につなげたいと考えています。 |
上地 明徳 Akinori Kamiji
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